7月の仕事机から

猫のぺろの食欲がなくなるのは、カリカリがすぐ湿気で柔らかくなって食感がわるくなるせい、と気づいて安堵した7月の始め。あれはまだ6月だった気がするけど、なんとなくサッカーを見始めて、気がついたらのめりこんで見ていて、フランスのムバッペくんの何の気負いもない瞳と眉、その羽が生えて飛んでいくみたいな軽やかなカウンターや、ピッチに佇むメッシの切ない表情や、ケイスケ・ホンダさんがいつになく仲間と楽しそうにしている様子や、原口さんが満足したときのほわーんと湯立つようなお顔や、ゴールが決まったときに長友さんがぶちあげる拳、クリスチアーノ・ロナウドの闘牛士みたいな胸の張りかた、メキシコの人々の真面目な堅実なパス回しの様子、などなどを映画を見るみたいに見て、見ているうちに、いつのまにか6月が終わっていた。

180621_Scholar_flyerA_omote_f-1 7月7日から、藤沢市アートスペースで始まる姉妹友好都市交流事業『Scholar』展に参加することになりました。藤沢市の姉妹都市、マイアミビーチ市から日本に来て活動しているアーティスト、ガブリエル・デルポンテさんの作品を中心に、水野美加さんの映像作品、川本蓮大朗さんの古着を使った作品が並びます。チラシデザインはフクナガコウジさん。私は「学ぶ人」をテーマにした詩を4つ書いて、展示・配布します。Scholarということばは、日本語では学者と訳されるけれど、語源を辿ると「暇な人」という意味があるらしく、漢字の「暇」には「まだ磨かれていない原石、假(かり)の状態」という意味もあって、何かを学んだり磨いたりするためには、時間の余裕はなくてはならないものだと、ずーっと昔の人も感じていたらしい。まだどこにも届いていない時間、すなわち暇。アートはサッカーと違って端から見ると何をしているのかよくわからないところがあるけれど、サッカー同様、学びに即して打ち立てた作家それぞれのルールがあって、そのルールを鑑賞者と共有することで機能しているものと思います。今回、私はそれぞれの作品に「学ぶ」と同じ「ま」で始まるキーワードをあてて、それを詩のタイトルにしました。学びかたの色々を、きれいな色の文字で展示しました。見に来てくれたら嬉しいです。

8月4日には詩のワークショップもあります。初めて講師を務めます! アート作品は持ち帰ることができないので、参加者それぞれのことば(詩)に翻訳して持ち帰っちゃおう、という企画です。書いていただいた作品は、上等の紙に印刷してお渡しする予定です。真夏の土曜日、一緒に涼みながら、見て、よく見て、書きましょう。

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7月28日は、本屋B&Bで開催されるバイリンガル朗読会に参加します。オーストラリアから来日する詩人の皆さんと、ワークショップを通じて詩の相互翻訳をして発表する夏休み企画! 国際詩祭をいつか東京で、と念じていた身としてはとても嬉しく楽しみな会です。どうぞ遊びに来てください。

あと、これは仕事じゃないけど、以前ベルリンに行ったときにマウアーパークでひとりで歌ってたかわいい女の子、Alice Phoebe Louが来日するというので、行くよ、私、ライブに行くよ。

5月の仕事机から

11日は、朗読劇『リリーの魔法と好奇心について』へのご来場まことにありがとうございました。お客さま、スタッフ、優しくて頼もしい共演者のみんな、阿佐ヶ谷アートストリート山本さん、久遠キリスト教会の皆さん、誰が欠けても形にならなかった公演でした。(詩集物販に駆けつけてくれた青土社新人Tさんもありがとう!)
福留麻里さんのダンスも、アルプの音楽も、一夜限りで終わらせるには忍びない完成度のものがうまれたので、再演への道をこつこつ探っていきたいと思います。

その一週間前の3日は、伊波真人さんとの詩と短歌と音楽と映画をめぐるトークと朗読の会でした。私はこの日、AORという言葉の存在を知って驚愕しましたよ。音楽って知らないことまだまだある。どんなに知っても知ったことにならないのが、わけわかんなくておもしろい。伊波さんの郊外というテーマの話や短歌の作りかたの話もいろいろ聞けて、すっごく楽しかったです。二子玉川蔦屋家電の皆さま、お世話になりました。ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました!

そうそうそれから、6日は文学フリマでした。私が毛利悠子さんの展示のために書いた5つの詩を、カニエ・ナハさんが手製詩集シリーズの新作として制作・発表・販売してくださり、私もちょっとだけブースに立ちました。プラトン立体になぞらえた組立型の詩集のタイトルは『目に見えるものはやさしい』。組み立てると、形や影がきれいです。正多面体って、独特の美しさがあります。

やあ…、まだまだ思い出に浸っていたい気分を引きずり、やっとこさ仕事机に戻ってきた。

51b9aZ3qSFL._SX320_BO1,204,203,200_ 6月はまず、詩の雑誌「現代詩手帖」で連載詩〈トライアングル・ポエトリー:象〉という企画が始まります。ジェフリー・アングルスさんとカニエ・ナハさんと私の3人で、毎回ひとつの漢字をインスピレーション源として、一年かけて綴ってゆきます。第一回目の漢字は「絵」。どうぞお楽しみに!▲

ユリイカの6月臨時増刊号「総特集〈決定版〉ウェス・アンダーソンの世界 『犬ヶ島』へようこそ!」には、「いいことばかりは続かないとしても」という題のエッセーを寄稿しました。『犬ヶ島』と『ファンタスティック Mr.FOX』を中心に、犬たちや父さん狐の、(それはイコール私のでもある)したたかに優雅な生活を求めてゆくサバイバルについて書きました。生まれかわったらウェス・アンダーソンになるのも悪くないな!

どちらも5月末頃の発売です。

7月から藤沢アートスペースで始まる姉妹都市交流グループ展「Scholar」への準備もちょっとずつ始めています。あー、雨、早くあがらないかな。

朗読劇「リリーの魔法と好奇心について」開催のお知らせ

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画:はやしはなこ

朗読劇『リリーの魔法と好奇心について』

ついに、あなたは、外へ出た。
ある日、阿佐ヶ谷動物園の檻の外で放し飼いにされていた
アルダブラゾウガメのリリーの姿が見えなくなった。
また会えるように、ぼくは魔法の呪文を唱えた。
ひとりきりになったリリーを、つばめが見ていた。

どんな物語かといいますと:
では皆さん、あなたのいちばん仲のいい動物を思い浮かべてみてください。
近所のネコでも、カラスでも、イエグモでもかまいません。
彼らが何を考えているのか、私たちには永遠にわかりません。
だから、私たちは想像します。
これは、リリーというカメについて勇敢に想像した男の子と女の子、
そしてリリーをどんぐりと勘違いしたつばめの物語です。
もちろん、リリーの魔法と好奇心についての物語でもあるのですが。

出演者プロフィール:
大崎清夏:詩人。1982年神奈川県生まれ。2011年、ユリイカの新人としてデビュー。第1詩集『地面』に続く第2詩集『指差すことができない』で第19回中原中也賞受賞。平易な言葉によって織りなされる寓話的な詩世界で注目される。近著に詩集『新しい住みか』(青土社)ほか。

福留麻里:ダンサー。1979年東京都生まれ。2001年より新鋪美佳と共に身長155cmダンスデュオほうほう堂として活動。独自のダンスの更新を試みる。2014年よりソロ活動を開始。日常的な仕草やくり返せる動き、物の感触や佇まいなど、身近なことに動きのはじまりを見つけて踊る。
福留麻里さんの情報≫

山田亮太:詩人。1982年北海道生まれ。2006年よりヴァーバル・アート・ユニット「TOLTA」(トルタ)として活動。詩の言葉の可能性を拡張する作品群で注目を集める。詩集に『ジャイアントフィールド』、『オバマ・グーグル』(ともに思潮社)。舞台演出の分野でも活動する。
TOLTAの情報 

アルプ:木下美紗都と石塚周太による音楽プロジェクト。2016年公開の映画「知らない、ふたり」(今泉力哉監督)の劇伴音楽を手がけ、サウンドトラックも製作。2016年10月、「横浜音祭り」の一環として、初の音楽会「アルプの音楽会 音の顔と性格」を横浜STスポットで開催した。
アルプの情報≫

作者より:
阿佐ヶ谷アートストリート2018の参加企画として、一夜限りの朗読劇公演を発表することになりました。音楽を、草が育つような音色を奏でるアルプのふたりが演奏し、ダンスを、豊かなからだで林や川をえがく福留麻里さんが踊ります。朗読は、詩人の山田亮太さんとご一緒します。

 実は、2月に出版した詩集「新しい住みか」の最終的なコンセプトを決めるきっかけになったのが、去年の夏にニュースで見た、ゾウガメの脱走事件でした。今回の公演では、詩集の冒頭におさめたそのゾウガメの詩をひらいて、ささやかな物語をつくりました。会場には、久遠キリスト教会の礼拝堂という、その場所そのものが神聖な森のような空間をお借りします。
動物の集会に、こっそり混ざるような気持ちで、お立ち会いいただけたら幸いです。

朗読劇「リリーの魔法と好奇心について」
作・演出・出演:大崎清夏
出演:山田亮太、福留麻里
音楽:アルプ(木下美紗都、石塚周太)

日程  :2018年5月11日(金)18時半開場・19時開演
会場  :久遠キリスト教会

     166-0001 東京都杉並区阿佐谷北2-25-8
チケット:3,000円
オンライン予約サイトTIGETにてご予約ください。           https://tiget.net/events/24405
お問合せ:anagumasha@gmail.com(アナグマ社)
主催:阿佐ヶ谷アートストリート2018
後援:ポルトガル大使館、キプロス共和国名誉総領事館、杉並区
協賛:タキロンシーアイ株式会社、第三企画株式会社
助成:杉並区、朝日新聞文化財団

3月の仕事机から

19日、表参道スパイラルでの会「野蛮な魂に自信をもつ」にご来場くださった皆さま、ありがとうございました。自分の詩を読む声はいつも自分の声なので安心ですが、緊張すると、通常営業に輪をかけて淡々と進行してしまう癖があります。もっと会場の人に野蛮な魂を授けたかったんだけど。(もちろん、淡々とすることと、野蛮な魂とは、矛盾しないのだけど。)第一部では私の動物表現との出会い、狼王ロボやハチ公物語の話をしました、ね。あとスペイン語で「テロリストたち」を読んだり、ね。第2部は座談会と朗読が平行して行われるというパフォーマンスで、私はどちらかというと座談会ばっかり聞いてしまいました。でもたまに座談会の会話の流れからストーンと朗読の声に、その逆に、耳が自然とBack to backする瞬間があって、気持ちよかった。そしてTOLTAは詩のことばをはっきり選んで批評してくれるので安心でした。しかし刊行から一ヶ月経っても、どこかで詩集が売られたり読まれたりしていることを考えると、そわそわしてきます。椿や桜も咲いてきたりして、そわそわさせやがる。

3月30日の読売新聞夕刊に、詩「マスクとイヤホン」が掲載されています。花粉のとぶこの時期はとくに、マスクしてイヤホンもしてる人をよく見かけるけれど、あれ、どこかしらイスラム教のブルカをまとっている人のように、ひとつの宗教的な装いのように見える気がしませんかという、そんな話(じゃなくて詩)です。卒業シーズンの話(じゃなくて詩)でもあります。

4月は、大島健夫さんと山口勲さんのご長寿オープンマイク朗読イベント、千葉詩亭にゲスト出演いたします。千葉の皆さまよろしくお願いします。

で、5月はこれ!

そして昨年秋からこつこつと準備している朗読劇も5月11日(金)の開催です。タイトルは「リリーの魔法と好奇心について」。動物園から脱走したゾウガメのお話です、子どもたちにもみてほしい作品です。これは素敵なチラシを準備中なので、来月から怒濤の宣伝を開始する予定です。

ずーっと耳鳴りのように聞こえていたキューバの音楽がようやく少しずつ鳴りやんで、寂しいような、ほっとするような、ともかくここからまた次の住みかを探しはじめなければなりません。初台でみた谷川俊太郎さんの展示はあっけらかんと、西荻でみた坂本千明さんの展示はしんしんと、こんな住みかもあるよ、と教えてくれているみたいだった(ちなみにそのどちらの街にも住んだことがある……)。絶望の果てのあっけらかんとしんしんに、すこし泣く。自分について喋るとき私たちは必ず失敗するのだから、ベケットがFail better.と言ってくれたのを頼りに、また喋る。

『新しい住みか』は書店やAmazonで発売しています、どうぞよろしくお願いします。

2月の仕事机から

cover ハバナから帰ってきたら、ゆっくりだけど確実に暖かい季節が近づいていました。夕方5時に飛行機が羽田に着いて、まだ明るいのがふしぎだった、嬉しかった。

いろいろ続報です。
2月22日発売の詩集『新しい住みか』(青土社)、カバー作品は毛利悠子さんのインスタレーション「パレード」、装幀を名久井直子さんにお願いして、完成しました。
かわいくなったなぁ、お前!と言いたい。
Amazonで予約開始しています

詩集の刊行にあわせて、いくつかの企画を画策中です。最初のお披露目イベントは3月19日(月)、Support Your Local Poet Meetingにて。「野蛮な魂に自信をもつ」と題して、第1部は改めての自己紹介と朗読、そしてハバナの印象報告などをまぜこぜに。第2部ではゲストにTOLTAの皆さんをお迎えして遊びます。詳細はTwitterで随時お知らせすることになると思います。この機会に皆さまに立ち会っていただけたら、とても嬉しいです。

美術手帖の3月号『言葉の力。』特集では近年の毛利悠子さんとの取り組みについて取り上げていただいたほか、いぬのせなか座による現代詩アンソロジーにも参加しました。詩の読みかたをていねいに導いてくれる解説付きです。こちらもぜひ。

また季刊詩誌『びーぐる』39号の「第二回びーぐる船上国際詩祭」特集では、この2月に私が訪れたキューバ国際ブックフェアで出版人としても詩人としても大活躍していたハバナの詩人、ケティ・ブランコを紹介します。

ハバナの第8回若手作家ミーティングは、驚くほど実り多いものでした(なんと日本から参加するのは私が史上初だったそうです)。第27回ハバナ国際ブックフェアの関連イベントということで、読書週間らしい街の盛りあがりも感じることができた滞在でした。海外での文学イベントに参加するのは私にとって三度目でした。スペイン語で朗読される詩の意味は現場ではほとんどわからず、ラテンアメリカ特有の早いんだか遅いんだかよくわからない進行テンポに苛立つ場面ももちろんあるのだけれど……(まじか。まじか。という出来事が次々起こるのだけれど……ここで多くは語るまい)。海外のイベントに参加するいちばんの良さは、何より自分の詩が日本現代詩の文脈を離れて読まれ、別の角度から評価してもらえることです。チリから来たスキンヘッドの女性作家と話したとき、「女性の情熱を書くとき、私はいつも深さと強さを大事にしてきたけど、あなたのは深くて柔らかいんだね、深さと柔らかさは結びつかないと思ってたけど、あなたはそれをやってるんだね」と言ってくれたのが心に残る。ほかにも、えーっなんでそれわかっちゃったの?すごい!という感想をいくつももらった。ひとえに翻訳のおかげだと思います。そして、今回はとくに、過去に参加した詩祭に比べても音楽がふんだんに取りこまれていて、その音楽のどれもこれもがすばらしいリズムとメロディに裏打ちされていて、耳を休ませてくれると同時に、キューバの底知れなさにどきどきしました。最も辛い時代を詩と音楽とラム酒だけで生き延びてきたような国。辛いとか、貧しいとか、豊かとか、そういうことばをいちいち海水で洗って確かめてみないといけないような国。チェ・ゲバラさん、あなたはいったい何をしたの、この島に? スペイン語勉強中とはいえ、参加詩人たちの詩のことばはまだまだ、ほとんどわからないのだけれど、メキシコのマイノリティ言語、ニチム語の詩人が私のために聞かせてくれた朗読の、音の美しさが忘れられません。詩は意味じゃない、ということのほんとうの意味はこのことなんじゃないだろうか。生きている間に一度でいいから日本で国際詩祭を実現したいけれど、私の力だけではどうにもならないのだろうと思います。詩をひとつの強い言語として、海外の詩人を手招きするための筋肉として、使うことができなければ。とにかくどこかでもう少し詳しくレポートする機会がありますように。いまは断片的かつ厖大な記憶と記録をゆっくり整理整頓しているところです。

1月の仕事机から

2月22日、『新しい住みか』という本を青土社から刊行することになりました。高潔さと優しさの同居する言葉になれたらなあと思い、きりきりしながら、ここ三年か四年、この詩集を編み続けていました。その作業が終わってしまったので、いまは、心配ばっかりです。でもその過程で、信頼している何人かの方に原稿を読んでもらうことができました。この、本になる前の原稿を信頼する人に読んでもらうという行為が、どれだけ私の励みになったかわかりません。必ずや納得のいく形で本にするという決意を支えてくれたのはこの人たちでした。ほんとうにありがとうございます。

27656994_10214216431431934_4747552160097121362_n2月1日から、キューバはハバナで開催される国際ブックフェア内の「若い書き手の集い」という企画に参加してきます。「若い」って、みんな何歳なんだろね。楽しみ。この企画のためにスペイン語のミニ詩集を制作するにあたって、南映子さんと棚瀬あずささんのおふたりに翻訳をしていただきました。いま、私をキューバに招待してくれた“若い”詩人、ケティ・ブランコさんの詩の日本語訳を進めています。(と言いつつ、まだぜんぜんできていない……キューバでがんばる。)ケティの詩は後日、詩の雑誌「季刊 びーぐる」39号で紹介予定! 掲載のご縁をくださったT先生、ほんとうにありがとうございます。翻訳は、することにも、してもらうことにも、労苦が多いけれど、翻訳文学に養分を注入され続けて生きてきた身として、こういうひとつひとつの機会をもらうこと、感謝がとまりません。

毛利悠子さんの藤沢での個展「グレイ スカイズ」は、無事終了したもよう! 「グレイスカイズのための詩集」といっしょに味わってくださった方、ありがとうございます。美術手帖3月号の「ことば」特集で、クロストークの模様と詩集の一部を紹介予定です。どうぞ、お楽しみに。

待ち遠しい春の先の5月11日(金)夜、阿佐ヶ谷にある久遠キリスト教会の礼拝堂で、朗読劇の公演をします。出演は福留麻里さん、山田亮太さん。あと私。音楽に木下美紗都さん、石塚周太さん。阿佐ヶ谷アートストリートという、今回5年目になる阿佐ヶ谷の芸術祭の一環です。詳報後日。とてもすてきな礼拝堂なので、この場所で響くものをぜひ味わいにきてほしいと思っています。スケジュール、空けておいてくれたら嬉しいです。

ところで今年も私の大好きなハリウッドの各種受賞スピーチが聞ける季節が巡ってき、ゴールデングローブ賞の受賞スピーチで断トツかっこよかったのはフランシス・マクドーマンドさんなのでありました。オプラ・ウィンフリーさんのHorizon!の叫びにもちろん私の涙は止まらなくなったわけだけど、ひとつのアメリカの女性の生としてマクドーマンドさんのような格好良さのありかたがあること、それを会場から見つめる女優さんたちの、自分にはないものを持っている人を見逃さないようにする目(私と同じ目!)、メリル・ストリープが「たまらんな〜」と爪をかむ様子などは、他の女優さんのスピーチでは、絶対に見られないものでありました。

12月の仕事机から

12月2日から始まった美術家・毛利悠子さんの個展「グレイ スカイズ」、入口でもらえるハンドアウトとともに「グレイ スカイズのための詩集」をお配りしています。今回の展示の各作品に応答する4つのソネットをおさめた小さな詩集です。翻訳者ニック・マクドネルさんのご協力のおかげで、英語版もつくることができました。

毛利さんの作品は、どれもたいへん愉快です。藤沢、東京からだとちょっと遠いけど、展示も詩集も無料です。とくに「モレモレ」展示室では大きな窓から広い景色と明るい光と一緒に作品を楽しむことができて、できることなら、おなかのすかない、眠くならない、疲れないからだをもち、一日中そこでごろごろしていたいくらい気持ちがいい。藤沢アートスペースにて、1月28日まで。

12月16日にはクロストークにもお招きいただき、4つの詩の朗読をお客様にも手伝ってもらいつつ、各作品についてお喋りしました。詩人の目で撮られた映像のこと、人間が集まってつくった舞台みたいに完成された楽器たちの空間のこと、日本各地の電車駅で行われる個性的な水漏れ対応をモチーフにつくられた水の流れの作品「モレモレ」には叙事詩の感じを感じること、などなどなど。そしてなんと『美術手帖』2018年3月号にてこのトークの模様を取り上げてくださるとのことです、たのしみです。

そのトーク終了後には、毛利さんと一緒に奈良へワープして、春日大社の若宮おん祭りに参加してきました。真っ暗やみの夜の森に神さまが起きだしてきて、その後をぞろぞろついていく参拝客の行列も、やおよろずの神さまみたいに見えた。畏れる気持ちが自然に湧いた。このことはあとでnoteに書こうと思う。

2018年は、2017年より多くのことばの仕事を企んでいるから、そのひとつひとつがよい仕事になるように、しっかりウォーミングアップの年末年始にするぞというわけで、いま鞄にはいっているのはドナルド・キーン著、金関寿夫訳『百代の過客』。聴いているのはNoname「Telefone」。ああこのことばのflowよ、これを身につけたいんだ、2018年は、占いによれば獅子座の私は勉強の時間が一段落して(by石井ゆかりさん)、猫のぺろは2歳になって、いまはまだ2017年だけど冬至はもう過ぎたからあとは春になるだけ暖かくなるだけ、なんだか今年はことばを節約してしまったんじゃないかな、後悔もなくもないが、私が黙っていてもやっぱり見わたすかぎりの場所にことばは溢れていたし溺れないでよくがんばった、準備はととのった。2018年は、歌うように語るようなことばをたくさん書きたい。書く。